つくば市は全国有数のICT教育先進自治体です。1977年に日本で初めて筑波大学が開発した学習システムを利用し、2017年でICT教育40周年です。
最近の取り組みは、つくば市ICT教育推進プログラムにまとめられていますが、一言では語り尽くせないほどのボリュームがあります。
以下の3点が取り組みがうまく進む理由だと感じました。
1.目指すビジョンが明確であること
2015年11月につくば市主催で開催されたICT教育全国首長サミット(全国ICT教育首長協議会の前身)で以下の宣言が採択されています。
- 行政と教育委員会が連携してICT教育などの教育水準の向上と魅力あるまちづくりを一体として目指します。
- 子供たちが主体的にわくわく楽しい授業が展開できるためのICTの環境整備と教員のICT活用指導力の向上を進めます。
- 子供たちの確かな学力と社会に対応する力を育てるために、情報モラルをしっかり身につけたICT機器の利用を促進します。
つくば市では、教育の中でICTが活用できる領域をCommunicationだけでなく、7つ意味をCに持たせ21世紀型スキルおよび社会力を身につけられる教育を実践しています(2016年度までの4C学習はこちら)。
- Cooperation 協働力
- Communication 言語活用力
- Critical thinking 思考・判断力
- Computational thinking プログラミング的思考
- Comprehension 知識・理解力
- Creativity 創造力
- Citizenship 社会力
この考え方はICT CONNECT 21のイベントでマイクロソフト教育部門担当副社長 Anthony Salcito(アンソニー サルシト)氏が語ったこれからの時代に求められるスキルをすべて含みます。
- creativity 創造性
- communication コミュニケーション
- collaboration 協力
- critical thinking 批判的・内省的思考
- computing コンピュータの活用
これらの力が9年間(小中一貫)で備わるように、つくばスタイル科の評価基準として、学年☓到達度のスキル表がまとめらています。
2.インフラの整備とコンテンツの拡充が共に進められていること
インフラの整備
- 生徒1人に1台のタブレット型PC
- 生徒2人に1台のデジタルカメラ
- 普通教室への無線LANの導入
- 全小中の普通教室に電子黒板、書画カメラ(ぼうけんくん)
- 市内全小中学校を同時接続可能なテレビ会議システム
- ひとりでも、通学しなくても学べるつくばチャレンジングスタディ
- 子供たちが創造的に学習するための協働学習ツール、スタディノート
- アクティブ・ラーニングツール、スタディネット
コンテンツの拡充
- スタディノートを使った自分の考えのプレゼンテーション
- スタディノートオフラインを活用した野外調査
- 市内全校を対象にした電子黒板でのプレゼンテーションコンテスト
- Skypeによるテレビ会議を使った他校や研究所の先生とのアクティブ・ラーニング
- 小学校4教科、中学校全教科での指導者用デジタル教科書
- チャレンジングスタディを使った家庭学習、個別学習
インフラの整備とそれを利用した学びのコンテンツの充実は、リモートワークを導入するICT関連の大手民間企業の業務環境と比較しても、引けを取らないと思います。
3.取り組みをオープンにし、外からの評価を得られる状態にしていること
これらの優れた取り組みは、自治体、教育委員会とつくば市独自の総合教育研究所によって進められ、取り組みの多くが、つくば市教育局教育指導課のドメインにまとめて公開されています。また、全国のICT教育のトップリーダーとしての自負を感じさせるような実績を積みあげています。
- 市内全小中学校52校が日本教育工学協会(JAET)の学校情報化優良校認定を受けている
- 全国ICT教育首長協議会の中心的役割を努めている